top of page

Marreブログ①エリトリアは世界最悪の独裁国家? FAKE NEWSではないのか? 

更新日:2019年6月1日

いよいよHEAVENESEのエリトリア遠征が始まる。

文化スポーツ庁からの正式な招聘であるが、スケジュールや工程表などの情報が一切こないという情報難民化していた。


ところがついに、昨晩前乗りして、準備のためにエリトリアに向かった夏子からメールが。

そしてこういう。

「みなさん、驚かないでください!なんと日程が違ってます!!!」


当初の予定では、21日にシネマロマ。22日にシティパークと言われていたが、レターでは

1日ずれている。


20日にシネマロマで、21日にシティパーク。


これがアフリカだ。なんでもござれ。

でも心配なのは、これだと後発隊のメンバーが到着した日にいきなり本番ということになる。すでに印刷しているフライヤーの日程とも違う!!!


困ったな・・・

それはそれとして。


日本人にとってエリトリアという国は殆ど馴染みがない。

東アフリカの小国「エリトリア」は、面積は九州と北海道を足したくらいの大きさ。

「アフリカの角」と呼ばれる紅海に面した半島に位置する。

アフリカの角に位置するエリトリア

エリトリアの海を北上すれば、かの有名なモーセが海を真っ二つに分ける奇跡によって古代ヘブライ人をエジプトから大脱出させたポイントがある。

紅海を挟んだ対岸は広大なアラビア半島で、サウジアラビアとイエメンに面している。

エリトリアは悪名が高い。

世界最悪の独裁で『世界でほとんど類を見ない組織的な人権侵害』

国家だと世界のプレスは伝える。

エリトリアをネットで検索すれば、そのような記事がわんさか出てくる。

アフリカの北朝鮮だと。

確かに、エリトリアは1993年にエチオピアから独立して以来、初代大統領の独裁が続いていて、一度も選挙が行われたことはない。

エリトリアの独立を勝ちとるために戦ったヒーローイサイアス・ アフェウェルキが  初代大統領に就任し、そのまま現在も大統領職に留まり独裁体制を敷いているのだ。


昨年11月9日、20年ぶりの平和協定締結のためエチオピアを電撃訪問したイサイアス・アフェウェルキエリトリア大統領



野党は存在するが選挙が行われない以上、存在していることに意味がない。

政権に批判的な独立系メディアも存在しない。

また、「ナショナルサービス」(国家奉仕)という制度があり、市民が軍あるいは政府関係の労働を強いられているという。

Human Rights Watchの記事によれば、エリトリア人、外国人を問わず、過剰な監視体制が敷かれていて、国内移動は制限されているという。    


こうした状況から、エリトリアを脱出する難民が後を絶たず、毎年命がけで隣国エチオピアを経由してヨーロッパへ逃亡する人々が大量に発生しているというのが実情らしい。

難民キャンプでインタビューに答える人々はエリトリアの惨状を告発し、国民は恐怖が支配している国で怯え、突然の身内の監禁や拷問などの連続で塗炭の苦しみを味わっているというのだ。



また信教の自由もなく、エリトリア正教、ローマ・カトリック、イスラム教、そしてプロテスタントのエバンジェリカル・ルター派のみが公認で、それ以外の一切の集会や活動は許可されていない。


Christian Today紙はこう書いている。

エリトリアでは10年以上にわたり、人口の半数を占めるキリスト教徒や、他の弱い団体を迫害している。迫害監視団体「リリース・インターナショナル(Release International)」によれば、全ての福音派と単立の教会が閉鎖され、多くのキリスト教徒が信仰のゆえに拷問を受けているという。

公認されていない単立プロテスタントの牧師たちが集団で逮捕拘束されたりしている。



だが、これらのニュースは本当だろうか?

惨状を伝えるのは決まって西側のメディアだ。

エリトリアの大統領は欧米の民主主義を賛美していない。

これは確かなことだ。

だが、それは他のイスラム諸国も同じこと。

欧米的でないものは、欧米的な基準から悪だと断罪されている側面はないのだろうか?


イラクを思い出してみよう。

フサイン元大統領が独裁体制を敷いていて、最悪の非人道国家だと言われていた国に、アメリカを中心とした多国籍軍が軍事介入し、フセイン政権を倒した結果どうなったのか?

権力の空白が生じ、国内は混乱し内戦状態となり、中東情勢が流動化し、その流れから「イスラム国」が台頭してきた。



そもそも欧米と価値観の違う国に、欧米的な価値観を押し付けることが義なのか。

欧米史上主義が歴史を混乱させてきたのは紛れもない事実ではないか。

エリトリアについても、同じようなことが言えないのだろうか?

エリトリア国はメディア情報は政治的なバイアスがかかっていて正しくないと公式にコメントしているし、我々が大変お世話になっているエスティファノス駐日エリトリア大使も、メディア情報は偏見に満ちていると主張している。


実際どうなのだろう?

我々が今までのところ体験していることに関して言えば、エリトリアがアフリカの北朝鮮だと非難される理由は全く見つからない。

その理由を簡単に書いてみたい。



まず第一番目に、今回のHEAVENESEエリトリア遠征の発案者であり推進者であるエスティファノス大使の存在があげられる。

彼はエチオピアとの独立戦争で戦った勇士で、投獄された経験もある。

頭には銃で撃たれた傷跡ものこっているほどの、ばりばりの愛国者であり生粋のエリトリア人だ。


エスティファノス大使(右)エチオピア大使と

その大使がHEAVENESEのステージとメッセージに共感してくださり、

「エチオピアにまでいったのだから、エリトリアにもきてほしい」

とわざわざその相談をしにキックバックカフェまできてくれたのだ。


大使はいままで何度もHEAVENESE公演を観に来てくださっている。

だが、昨年5月22日に行われた「信長を知ればヒップホップがわかる」という演目に大変感動してくださった。

それは、キング牧師暗殺50周年を記念のプログラムで、人種差別との戦いをテーマにしたものだ。

エスチファノス大使は、HEAVENESEが発している人種的偏見に対するアンチテーゼに共鳴され「HEAVENESEこそエリトリアに必要だ」と、わざわざ本国に直接交渉してくれたのだ。


それをうけ、後日我々はエリトリア文化スポーツ庁からの正式なレターを受け取ったという流れで今回の遠征が実現する運びとなった。



エスティファノス大使の国を思う心や、全アフリカに対する愛情はとても大きい。

彼が本国にHEAVENESEを招聘するよう連絡したとき、エチオピアとエリトリアの平和協定はまだ締結されていなかった。

つまりエチオピアと対立関係にあったのだ。

そんな中、エチオピア公演を成功させたグループをエリトリアにも招聘しようと考えるのは、愛国者であればあるほど考えそうもないことだ。

しかしスティファノス大使の熱意は本国に伝わり、本国もその思いを共有して、正式な招待とあいなった。



しかも、ここが大事なのだが、エスティファノス大使は、HEAVENESEの座長である僕がプロテスタントの牧師という立場を持っていることを承知している。

我々の音楽はアメリカではゴスペルに入る。

英語が堪能なエリトリア人は、HEAVENESEの楽曲の英語の歌詞をも理解する。

公認されていないプロテスタントが迫害されたり、投獄されたりしているという宗教的な弾圧がある国であるのに、そんなHEAVENESが正式に国の行事に招待され、国民の前で演奏しメッセージを発することが歓迎されるというのは、どういうことなのだろうか?

本当に単立系プロテスタントは迫害されているのか・・・・と思いたくなる。


また、エリトリア国内の移動は制限され、監視体制も厳しいというのは本当なのだろうか?

確かにスタッフの夏子が、一月前に準備のために渡航したとき、現地の若者が「僕たちに言論の自由はないんだ」というようなことを語っていたという。

それにしても、FBもネットも自由にできる。

ある一定の制限は確かにある。

たとえば、LINEはつながらない。

またネット環境もよくない。

しかしFBやメッセンジャーは普通にできる。

エリトリア国内の人々は、世界の情報に自由に触れることができる。

若者の車ではR&Bやラップが流れているという。

音楽は極めて盛んだ。

エリトリアにもオーディション番組もある。




本当に独裁国家なの?

帰国後のミーティングで何度も夏子にそうきいた。

夏子も政府の誰にも監視もされず、

自由に街を歩きまわり、しかも禁止されているとネットでは言われている写真撮影も

普通にできて、たくさん写真を送ってくれた。

確かに首都のアスマラ以外の場所に旅行に行こうと思えば、申請して許可書をもらう必要がある。

しかしそれも当日、あるいは翌日に普通にとれるという。

HEAVENESEがエリトリア入りすると知ったエリトリア人ミュージシャンから、メッセンジャーで普通にアプローチがあって、ぜひ一緒にコラボしたいという。

監視されているようすも、圧力も今のところなにもない。

これは、我々が特別に大切に扱われているのか。

それとも、これが普通なのか。

世界はフェイクニュースで満ちている。

この目で、世界最悪と言われる人権侵害の国を体験できるのが楽しみだ

by いよいよHEAVENESEのエリトリア遠征が始まる。

閲覧数:1,756回0件のコメント

最新記事

すべて表示
bottom of page